鉱物油・ミネラルオイルと聞くと、肌に負担がかかったり荒れたりするイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
なんとなくの理由で避けていてはもったいない!鉱物油の本質を知ることでスキンケアの幅が広がります。
目次
1. 「肌によくない」イメージの理由
鉱物油と言うと、なんとなく肌に悪い印象をお持ちの方も少なくないでしょう。
このイメージが付くようになった背景をご存じでしょうか。
1970年代ごろ、精製度の低い鉱物油を使った化粧品が市場に出回り、使用した人が「油やけ」という現象を起こしたことがありました。
油やけとは、肌についた油分が太陽の紫外線を受けて酸化することで、その部分の肌がくすんだり色素沈着を起こすことです。
しかしこの油やけは、オイルそのものの性質ではなく、含まれる不純物が原因であると解明されています[1]。
この一件から、現在でも鉱物油に悪いイメージを持つ方が多いようです。
2. 他の油性成分との違いは?
2.1. 動物由来・植物由来の油性成分
化粧品に使われる油性成分には、他に動物由来や植物由来のものがあります。
オリーブオイルや椿油というった植物由来のものや、動物由来の馬油や主にサメ類から抽出したオイルを安定化させたスクワランオイルがよく知られています。
2.2. 鉱物油との違いは?
こうした天然の油性成分は肌の角質層に浸透しやすいという特徴を持ち、ビタミンやフィトケミカルなどの栄養素も含んでおり、広く化粧品に使われています。
しかし天然油の中には、ローズヒップオイル、キウイシードオイルなど酸化しやすい成分を持つものもあります。
一方、鉱物油は酸化しにくく、保存性に優れているという特徴を持ちます。
3. 肌への影響は「不純物」が原因
自然由来の油も鉱物油も、搾油したままでは多くの不純物を含んでおり、肌に悪い影響を与えることがあります。
オーガニックやナチュラルを謳うオイルの中には「できるだけ自然のまま」という考え方から、高度な精製を行わず不純物が多く含まれるものもあります。
不純物が肌に与える影響を考えると、鉱物油だけが危険であるとは言えません。
4. 化粧品に使われる鉱物油
現在の化粧品には、石油を分留・精製し不純物を取り除いた、精製度の高い油性成分が使われています。
例えばワセリンなど、安全性が高く皮膚科で処方される薬のもとになっているものもあります。
ミネラルオイルは、肌が弱い赤ちゃんのためのベビーオイルにも使用されており、その安全性が確立されていると言うことができるでしょう。
ワセリンなど鉱物油は肌への吸収性が低いため、肌表面に脂の膜を張ることで角質層の水分蒸発を防ぐ効果があります。
また、油の膜を張るという性質から、クレンジングオイルによく利用されます。
近年ではミネラルオイルを使用したミネラルファンデーションなどの化粧品が肌に負担が少ないとして人気になっています。
5. 利用には正しい知識を
鉱物油も動物や植物由来の油性成分もそれぞれの長所短所があります。
肌への刺激を気にする場合は、油性成分の種類というよりも、高度な精製で不純物が取り除かれているかどうかに着目するとよいでしょう。
[1] 一般社団法人 化粧品成分検定協会(2015)化粧品成分検定公式テキスト